基本理念
当会の、『チャイルドラインびんご』の基本理念は、
「コミュニケーションとしてのチャイルドライン」です。
近年の“癒し”ブームの中で、ひたすら「ケア」を求め、
求められるままに「ケア」を施す、というスタンスのみで
チャイルドラインを捉えていくなら、かえって子どものトータルな
実態を見逃していく危険性があるのではと懸念します。
チャイルドラインには、涙ながらに訴えるいじめの話もあれば、
好きな異性への告白をどうしようかという相談、
おしゃべりを楽しみたくてかけてきた子など、実に多様な電話がかかってきます。
共通するのは、“他者とつながりたい”という子ども側の自己発信です。
深刻に悩んでいる子には、ひたすらその子のしんどさに寄り添い、分かち合い、
一歩踏み出そうとしている子には、その子どもの決断を尊重して励まします。
おしゃべりを楽しみたい子には、相手が気持ちよくしゃべれるよう、
受け手側もその子の興味に同調、共感するよう努めます。
したがって、受け手側に求められるのは、「ケア」ではなく、
「良質なコミュニケーションの技術」です。
良質なコミュニケーションは、同時に、良質なケアも提供できるはずですから。
『チャイルドラインびんご』では、広島国際大学医療福祉学部・矢原隆行准教授の指導により、
二つのコミュニケーションシステムが観察し合う、 “リフレクティング・プロセス”を通し、
電話ボランティアのスキルアップを試みています。
※刊行物のページへ『リフレクティングの試み』を掲載中。
良質で高度なコミュニケーションスキルを身につけた電話ボランティアは、
その能力を、電話の前だけではなく、地域コミュニティでも活用してもらえれば
と願っています。
そして、子どもたちが生き生きと過ごせるまちづくりに、
参画していってもらいたいと考えているのです。
「チャイルドラインはまちづくり」というビジョンを、
今後も持ち続けて活動していきたいと思っています。